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【開催レポート】“町の宝物”が、未来になる。文化をつなぐ浪江の挑戦|FUTURE × COLORS #3

  • 2月6日
  • 読了時間: 6分


1月22日に開催された「FUTURE × COLORS # 3」では、浪江町でリサイクルギャラリー「り庵」を営み、十日市祭での「花嫁行列」復活にも尽力してきた石橋いづみさんをゲストに迎え、「花嫁行列の今とこれから」をテーマに語り合いました。


会場には、花嫁行列を初めて知った方から実際に行列に参加していた方まで幅広い世代が集まり、数々の写真や町の記憶を伝える“モノ”に囲まれながら和気あいあいとした時間となりました。


本レポートでは、当日のセッションのハイライトを中心に、その魅力をお届けします!


 

「残したいものがある」故郷への想いを旨にUターン移住



——震災後、浪江に戻ってこようと思った理由は何だったのでしょうか

 

石橋: 私は浪江生まれ・浪江育ちですが、震災当時は町外で暮らしていました。避難指示が解除されてすぐに戻ってきたのは、「残したいものがある」と強く感じたからです。町が新しく生まれ変わっていく一方で、家の解体とともに写真や思い出の品が失われていく姿を見て、胸が痛みました。復興の一助になれればという思いでUターンしました。

 

——リサイクルギャラリー「り庵」を始めた背景を教えてください。

 

石橋: 町の再建が進む中で、「捨てられないけれど置いておけない」ものがたくさんありました。嫁入り道具、家族の写真、古い家具…。どれも持ち主にとっては大切な記憶です。そこで、買い取りはせず“預かる”形で受け取り、必要な人に手渡す「リサイクルギャラリー」という形をとりました。

持ち込まれる品には必ず物語があります。「これは嫁入りの時に持ってきたタンスでね」「震災で家を解体することになって…」と、皆さん思い出を語ってくださる。悲しみもあるけれど、誰かに使ってもらえることで前に進める。そんな循環が「り庵」には生まれています。


 

「やりたい」の声が連鎖し復活した町の景色



——浪江の一大イベント「十日市祭」では、石橋さん主導で「花嫁行列」を開催いただきましたね。そもそも「花嫁行列」とはどんな文化なのでしょうか。

 

石橋: 結婚式場が一般的になる前、日本では花嫁が自宅から嫁ぎ先へ歩いて向かう「花嫁行列」が行われていました。家族や近所の人が総出で付き添い、花嫁道具を「長持(ながもち)」に入れて運び、途中で新郎側と合流して家に向かう。結婚は“地域全体の祝い事”だったんです。昭和やそれ以前から浪江町でも行われていました。

 

——十日市祭での「花嫁行列」復活のきっかけは何だったのでしょう。

 

石橋: り庵に持ち込まれた打掛(うちかけ)がきっかけでした。「せっかくだから十日市祭で展示しよう」と思ったら、「展示するなら行列もやろうよ」「行列やるなら“かご馬*”も復活させよう」と町民の声が次々と重なっていったんです。

最初は3人の予定だった行列が、気づけば30人に。移住者も町民も関係なく、「やりたい」が連鎖していきました。

昨年は、結婚式を挙げていなかったご夫婦が花嫁行列に参加し、「人生の宝物になった」と話してくれました。文化を残すだけでなく、人の人生に寄り添う場にもなっていると感じます。


*かご馬... 藁や木で作られた馬の形の民芸道具。祭りや葬式などの行列の先頭を歩き、その存在を知らせる役割を持つ、旧相馬藩に伝わる独自の文化。 


※2025年11月22日 十日市祭での花嫁行列の様子。花嫁役は本イベントの「聞いてみる人」大橋さんが務めた。

 

若い世代へのバトンタッチで文化を未来へつなぎたい



——これから花嫁行列をどうしていきたいと考えていますか。

 

石橋: 三年間続けてきましたが、私一人の力では限界もある。でも、花嫁行列が「十日市祭の当たり前の景色」になってほしいんです。そのためにも、若い世代へのバトンタッチをしていきたいです。伝統を守るだけでなく、新しい風を取り込みながら進化していく文化として、花嫁行列を未来へつなぎたいです。

 

——移住者が町の文化継承に関わることについて、どう感じますか。

 

石橋: 全く抵抗はありません。むしろ、移住者の「やりたい」という気持ちが文化を前に進めてくれることも多いです。伝統は“同じ形を守ること”ではなく、“続けること”が大事。毎年少しずつ変わっていくのも自然なことだと思っています。



参加者の声・会場の様子



会場には花嫁行列の写真やかご馬が展示され、自由に手に取って眺めながら浪江の文化の力を感じることができました。 

 

——花嫁行列の衣装や道具以外に、気になっているもの・残したいものはありますか。 

 

石橋: り庵を運営していると、古い農具や生活道具、写真など、「捨てられないけれど、どうしたらいいかわからない」という品物が本当に多く寄せられます。そうした“行き場のない大切なもの”が、それぞれの方のご自宅に大切に保管されていることが印象的です。古いものを大切にしている人たちが安心して相談できたり、活用方法を一緒に考えられたりする場が必要だと感じています。 

 

——浪江には博物館がないので、そういったものができるといいですよね。 

 

石橋: 町の人が持っている蔵の一部を展示スペースにしたり、家の一角を小さな資料館のようにしたり、そんな“分散型の博物館”のような形があってもいいのではないかと考えています。 

古いものを残すことは、単に保存するだけではなく、「どう活かすか」を考えることでもあります。そうした取り組みを、町のみんなと一緒にできたら嬉しいですね。 

 

トークセッション後は、「町内分散型の博物館」アイデアについて参加者も一緒に盛り上がり「これからやってみたいこと」を次々と出し合いながら活発な交流の時間となりました。 

 

参加者からは、 

「移住者でも“やりたい”と思えば文化をつなげられるんだと勇気をもらった」 

「新しいものだけでなく、これまで積み上げてきた価値に目を向けるのが未来をつくる上で大事だと共感した」 

「花嫁行列を引き継ぐための作戦会議をしたい!」 

といった声が寄せられました。 

 

このトークセッションをきっかけに、浪江の未来をつくる新しいチャレンジが動き出す予感!?

これからに乞うご期待です。 

石橋さん、そしてご参加いただいた皆さん、ありがとうございました! 

 


次回予告|あなたも浪江の「未来」を彩る仲間になりませんか?


次回もトークイベント「FUTURE × COLORS # 4 浪江で挑戦する“あの人”とつながる夜」を開催予定!詳細は後日お知らせしますので、ぜひメンバー向けメールマガジンや公式SNSをチェックしてください。



登壇者プロフィール

<ゲスト>

石橋 いづみさん(浪江「り」の会 代表)

生まれも育ちも浪江町。震災後に浪江町へUターンし、町民が残した思い出の家具や雑貨、着物たちを次の持ち主へつなぐリサイクルギャラリー「り庵」を権現堂地区で営む。

 

<聞いてみる人>

大橋 未来さん(會澤高圧コンクリート株式会社/執行役員 The Guardian PJ統括)

2023年より札幌と浪江の二拠点生活を開始し、2025年に移住。

「未来は開発できる!」をテーマに複数のプロジェクトを展開する同社で、避難の在り方を創造的に変化させる『新しい防災のカタチづくり』に挑戦している。

 


FUTURE × COLORSとは


「FUTURE × COLORS」は、2025年10月よりナミエシンカで新たにスタートした、トーク形式のコミュニティイベントです。地域で挑戦する人の“色(COLOR)”に触れ、その背景にある物語や価値観を共有することで、浪江の未来の可能性を一緒に描いていこうという思いから生まれました。

活動の裏話やこれからの野望を語りながら、まちを動かす人たち・これから活動したい人たちがつながる場をつくっています。



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